ブロンズ像の設置と管理についての取り組み
昨年より継続して取り組んでおりました胸像ブロンズ像の案件が、このたび無事に完成を迎えました。
設置場所は、とある地方の大学のキャンパス内。
落ち着いた雰囲気の校舎の一角に、木製の台座とともに設置され、さらにブロンズ鋳物製の銘板や、補助説明用のステンレスプレートも併せて取り付けることで、より丁寧な記念のかたちとして仕上げることができました。
このような記念像は、その人物の功績を讃え、未来へと語り継ぐために設置されるものです。
だからこそ、製作から設置、さらにはその後の管理に至るまで、細やかな配慮が必要となります。
単なる「設置して終わり」ではなく、「長く残す」ことを前提とした総合的な対応が求められるのです。
そして来月も、都内のある学校よりご依頼をいただき、校内に設置されている肖像ブロンズ像の取り外し作業を予定しております。
校内とは言いましても舎内ではなく屋外に設置されており、この像には経年による破損や表面劣化が見られたため、いったん工場に持ち帰り、全体の大修理と仕上げ直しを行ったうえで、再度元の位置に設置し直す計画です。
電気鋳造製のレリーフの可能性もあります。
屋外に設置されたブロンズ像やブロンズレリーフは、当然ながら風雨や日光、さらに鳥の糞害など、さまざまな自然環境の影響を受け続けます。
鉄のように赤錆で朽ち果てることは基本的にはありませんが、それでも油断は禁物です。
ブロンズも合金である以上、特に排気ガスや酸性雨の影響を受けやすい都市部では、少しずつ腐食が進行する可能性があります。
表面に付着した汚れや水分がそのまま放置されることで、地金の酸化や変色が生じてしまうのです。
こうした劣化を未然に防ぐには、日頃の簡単なメンテナンスが何よりも大切です。
特別な道具や薬品を使わなくても構いませんし、普段から乾いた柔らかい布で表面を軽く拭くだけでも、汚れや水分を取り除く効果があります。
特に雨上がりや風の強い日のあとなどは、意識的にお手入れをしていただくことをおすすめします。
また胸像などの場合は、台座の素材や構造、排水の状態なども、像の保存状態に大きく影響します。
水が溜まりやすい構造になっていると、そこから像の下部に腐食が広がることもあります。
設置当初にどれだけ長期的な視点で計画されているかによって、その後のメンテナンス頻度や修繕コストが大きく変わってくるのです。
これらのブロンズ作品は、10年、20年、あるいはそれ以上の年月にわたってその場にあり続けるものです。
ですからこそ、管理を担当される方々には、日常的な心配りとともに、定期的な点検や専門業者によるアドバイスを取り入れていただくことで、次の世代へと美しく受け継がれていく環境を整えていただきたいと願っております。