ブロンズ像やトロフィーの鋳造に関するご相談
新しい週が始まり、月曜日に会社に出てくると、まず最初に確認するのがメールです。
驚くことに、必ずといってよいほど4、5件の問い合わせメールが届いています。
しかも不思議なことに、内容はほとんど同じ分野に集中しているのです。
その分野とは――ブロンズ像やトロフィーの鋳造に関するご相談です。
具体的には「製作は可能か」「納品期限に間に合うか」といった確認から、「おおよその見積を出して欲しい」といった依頼までさまざまです。
ご要望のデザインも幅広く、アーティストが構想した難易度の高い立体的な造形から、企業のシンボルとして用いるシンプルなロゴまで、実に多彩です。
しかもご依頼主は個人の芸術家やデザイナーにとどまらず、官公庁、法人、各種団体など幅広いジャンルに及びます。
それにしても、なぜこうした見積依頼が月曜日に集中するのでしょうか。
表彰楯や記念レリーフ、あるいはアクセサリー類などは曜日による偏りは見られないのに、ブロンズ像やトロフィーに限っては週の初めにまとめて届くことが多いのです。
おそらく週末にお客様が社内で打ち合わせや検討を重ね、その結果を月曜に一斉に問い合わせとして送られるのかもしれません。
実際の理由を確かめるには直接お客様に伺うのが一番早いのでしょうが、唐突に尋ねるのも失礼にあたるため、長らく小さな謎として気になり続けています。
とはいえ、いずれにせよ弊社に見積をお求めいただけること自体、大変ありがたいことです。
仮にそのうち半分が相見積であったとしても、多くの候補の中から弊社を選んでいただけたことに変わりはありません。
とりわけブロンズ鋳造の分野は、完成品の姿が依頼時点でまだ固まっていないケースが多く、デザインが未確定のままご相談いただくこともしばしばです。
仕様の複雑さによっても大きく見積は変わります。
形状が複雑なのか、シンプルなのか。
サイズも手のひらに収まる小ぶりなものから、30センチを超える大作まで幅広く存在します。
さらに台座をつけるかどうか、その場合は木製、石製、大理石、金属といった素材の選定まで必要になります。
条件が一つ増えるごとに製作工程も変わり、コストも変動します。
例えるなら、グー・チョキ・パーの形によって値段が変わるようなものです。
つまり、詳細をしっかりお聞きしなければ簡単には見積ができない―
―それがブロンズ鋳物の世界なのです。