職人の「さじ加減」が命を吹き込む 古美(フルビ)仕上げの美学
私たちのものづくりにおいて、最も重要であり、かつ最もスリリングな瞬間。それは、「職人の手で最後の裁量を加える」場面です。
効率化や自動化が進む現代にあっても、最終的な良し悪しを左右するのは、やはり計算機では弾き出せない職人の「さじ加減」に他なりません。
そのひとさじで、製品は芸術品にもなれば、ただの工業製品にもなってしまう。
そんな緊張感のある作業こそが、弊社の最大の特徴です。
本日、同業者より質問があり、どのような試薬を使って仕上げを施しているのか、との問い合わせがありました。
もちろんお仲間でございますので、包み隠さずにその試薬をご紹介しました。
今回は、その象徴とも言える工程『フルビ仕上げ』についてご紹介します。
「古美(フルビ)」という名の美学
弊社では主に、レリーフの鋳造においてこの工程を採用しています。
「フルビ」とは「古美」という文字を当てることもあり、文字通り「時を経た美しさ」を人工的に表現する技法です。
一般的には「燻し(いぶし)」と言ったほうが馴染みがあるかもしれません。
そう、あの『いぶし銀』の燻しです。
「いぶし銀」が放つ、大人の色気
「いぶし銀」という言葉は、華やかな派手さこそないものの、確かな実力を備えたベテランや玄人を指す例えとして使われます。
本来、銀は磨き上げれば鏡のように光り輝く金属です。
しかし、あえてその光沢を抑え、深みのある灰色へと変化させることで、新品には出せない「味わい」と「重厚感」が生まれます。
この「落ち着き」こそが、見る者に安心感と風格を与えてくれるのです。
硫化という「化学変化」を操る
この色の変化は、銀や銅が硫黄成分と反応して黒く変色する「硫化」という現象を利用しています。
単に塗料を塗るのとは違い、金属そのものの表面を変化させるため、剥がれにくく、独特の質感が宿ります。
鏡面のピカピカした輝きをあえて封印し、古びたアンティーク調の質感を追求する。
これこそが古美仕上げの真髄です。
職人の「引き算」が、凹凸を際立たせる
フルビ仕上げの最も難しいところは、燻した後に表面を磨き、影を残す作業にあります。
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残しすぎれば、ただの真っ黒な塊になってしまう。
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剥きすぎれば、陰影が消えて深みが失われてしまう。
レリーフの凹凸をどう活かし、どこに光を当て、どこに影を溜めるのか。
それはまさに、職人が一点一点の表情を見極めながら行う「引き算の美学」です。
「これだ」という正解がないからこそ、職人の裁量ひとつで仕上がりは劇的に変わります。
お客様の手に渡ったとき、そのレリーフやメダルが何十年もそこにあったかのような風格を纏っているかどうか。
私たちは今日も、そのわずかな「さじ加減」に魂を込めて作業をしています。





付加価値が付いた記念品は、授賞に対する重さが感じられるはず。表彰、芸術に対する弊社の想いを掲載しています。
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